保険金非課税枠が縮小!       ・・・気になる”生計を一”の範囲

生命保険金の非課税枠とは、死亡保険金を相続する際に控除できる

「500万円×法定相続人数」という非課税限度額のこと。

平成23年度税制改正では、この非課税限度額計算における法定相続人の範囲が、「障害者」「未成年者」および「相続発生直前に被相続人と生計を一にしていた者」に限定されることになりました。

 

例えば夫婦子ども2人の4人家族で、子ども2人(健常者)はすでに独立して生活している場合、父親(被保険者)の相続発生に伴う死亡保険金の非課税限度額は、現行では「1500万円(=500万円×3人)」。

 

しかし改正後は「500万円(=500万円×1人)」となってしまう。母親が離婚またはすでに他界している場合は「0円」です。

生命保険金の非課税限度額は極めてポピュラーな制度であるだけに影響は大きい。

 

そこで疑問なのは、”生計を一にしていた者”の範囲について。

離れて暮らす親に仕送りしている場合や、地方の大学に通う子どものために親が生活費を仕送りしている場合などはどうなるのか、

といった疑問が各方面から上がり始めています。

 

”生計を一にする”の範囲については、一般的には一つ屋根の下で生活を共にしているかどうかが判断基準となりますが、実態はもう少し奥が深いようです。

必ずしも同居していなければならないというものでもなく、逆に同居していても生計別と見なされる場合もある(財務省)」

 

所得税法基本通達2-47では、「生計を一にするの意義」について、

勤務や修学、療養などの都合上離れて暮らしている親族について、

余暇には帰省することが常例となっていて、その親族間で常に生活費や学資金、療養費などの送金が行われている場合については「生計を一にする」と認めています。

逆に同居している場合であっても、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合は「生計を一にする」とはいえないこともあるとしています。

 

所得税の基本通達を相続税の非課税限度額の判断に当てはめて判断できるのかという疑問も生じるが、これについて国税庁では「明確な規定はないが、所得税の通達と同様に扱うことになる」としている。

 

同通達を見る限り、被相続人と一つ屋根の下に暮らす家族であれば問題なく”生計を一”にしているといえます。

また、「生計を一にするということは必ずしも扶養を伴うものではない(財務省)」ため、仮に家族全員が会社員で被相続人の扶養を外れていたとしてもやはり”生計を一”にしていることになる。

 

また、別居していたとしても、その別居親族が仕送りで生活していれば”生計を一”といえるし、

二世帯住宅で生活空間が完全に区別されていたとしても、

光熱費や固定資産税の支払いが共同であれば生計を一にしていると見なされた事例もあります。

 

”生計を一”から外れるのはどのようなケースなのでしょうか。

 

過去の判例を見ると、住民票が別、収入も別で家事費のやりとりがあるとして”生計別”を主張していたが、同一の家屋に居住し、玄関や台所、風呂なども共用、居住部分の敷地代のやりとりもなく、光熱費のメーターも同じであるため生活費が明確に区分されていないとして”生計一”と判断されたケースがあります。

 

 

また、納税者が両親および実弟と同一家屋に居住し、

住民票も一緒、国民健康保険料もまとめて負担していたケースでも

納税者から給与を得ていた実弟が、自分の食費を母親に渡し、

残額を自由に使っていたとして”生計別”と判断された例もあります。

 

これらは「生計を一にする親族に支払った報酬は必要経費に算入できない」(所得税法56条)とする特例の判定に絡む争いであるため

相続税非課税枠と内容は異なりますが、少なくとも”生計を一”の判断が極めて個別性が高いということが分かります。

 

個別判断におけるポイントを判例から拾い読むと、

家屋の使用状況、生活費の負担状況、電気・ガス・水道メーターの設置状況、職場、学校などがチェックされることになりそうです。

死亡保険金の非課税枠の判定シーンでは、これらの実態を

総合的に見て個別に判断する~財務省~としています。

 

現実には、別々に暮らしていた家族が父親(被相続人)の相続開始直前に実家に戻って”同居”し、”生計を一”にしていたとして

生命保険の非課税限度額を計算して申告した場合、たとえそれが

非課税枠狙いであったとしても、税務署はそれを頭から否認するのは難しいようです。

申告内容に異議を唱えるのであれば、”生計を一”にしていないことを税務署側が立証しなければなりません。

実際に同居して生活を一にしている実態があれば否認はできません。

 

しかし、相続発生直前の同居で明らかに非課税枠狙いのケースを

税務署も簡単に是認するはずもなく、「不自然な部分があれば調査する場合もある~税務職員」としています。

 

今回の改正では「相続発生直前に被相続人と生計を一にしていた者」という新案件を狙って、相続発生直前に慌てて同居するケースも増えそうですが、税務署に厳しくチェックされる覚悟は必要です。

 

反対に、判断ポイントの実態を積み上げて説得材料を整えておけば

”直前の同居”であっても是認される可能性もあるということです


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