短期前払費用の損金計上

1.    決算期直前、思いがけない利益が計上されてしまったら?

会社を経営していると、決算期直前に大きな取引が成立し、思いがけなく多くの利益が計上される場合があります。利益が計上されることは経営者にとってうれしいことです。が、当然、多額の税金を支払う必要がでてきます。

そこで、当期分の法人税をできるだけ少なくするために、一定の費用の短期前払いを行うことにより、利益を圧縮し、支払う税金を少なくする方法があります。短期前払費用とは、支払い日から1年以内に役務提供を受ける費用のことで、この短期前払費用は、支払った金額を、支払日の属する事業年度の損金の額に算入することができるのです。

簡単に言うと、一定の費用を期末に1年分一括して支払うことにより、支払った1年分の費用の全額を損金計上し、利益を圧縮させ、算出される税金を少なくするのです。(法人税法基本通達2-2-14

1.    損金計上できるのはどんな種類の経費?

    損金計上が可能な短期前払費用は、どんな種類のものでも構わないというわけではありません。前払いを行って損金計上できる費用と、損金計上できない費用があるのです。

    前払いを行うことによって損金として認められる費用とは、一定の契約などに基づき支払われる費用で、その費用を支出することにより、継続して一定の役務の提供をうけるものです。典型的なものとしては、地代家賃や支払保険料あるいは、支払利息などです。これらの費用は、提供を受ける役務の内容は、支払い方法によって変わることはありません。毎月支払おうが、一年に一度支払おうが、一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるものです。

    一方、広告費や給料手当、税理士等の顧問料は、毎月同額を支払っていたとしても、提供を受ける役務内容は毎月一定ではありません。このような費用は、前払いを行っても損金としては認められないのです。

 

   OK・・・地代家賃、保険料、社債の利息など

   NG・・・給料手当、広告費。顧問料など

 

    短期前払費用を行うことができる費用は、すべての費用について、前払いを行う必要はありません。要件を満たしてさえいれば、地代家賃は1年間前払いで損金計上、それ以外の費用は月払い、ということも可能です。また、地代家賃の中でも、店舗家賃は1年間年払いで損金計上、工場家賃は月払いということも可能です。

1.    損金計上できる金額は?

    「前払費用が損金として認められるなら、会社に現金も余っているし、

   損金計上できる費用が増えるのであれば、2年分でも3年分でも先に支払っておこう。」と考えるところですが、1年を超える費用を支払った場合には、支払った全額が損金として認められません。損金として認められるのは、「短期」の前払費用だけです。ここで言う「短期」とは、具体的には「1年以内」をいいます。

    支払った費用の金額が、1年以内のものであれば、損金として認められますので、2カ月や3カ月あるいは半年分を前払いすることはもちろん問題ありません。しかし、短期前払費用の支払いを行うことによる税効果を最大限受けるためには、1年分の費用の前払いを行うのが一番良い方法でしょう。

 

2.    短期前払費用の節税効果が発揮されるのは1回

 短期前払費用による節税は、翌期に計上すべき費用を当期の費用とし

   て先取りし、2期分の費用を当期中に損金計上することによりその効果

   が発揮されます。したがって短期前払費用を実行することによる節税

効果は、初年度の1回に限られます。一度費用の前払いを行ってしまうと次期以降は費用の前払いによる節税効果を受けることはできませんが、期末に思いがけない利益が計上された場合などには、ちょうど良い節税方法になります。

    また、未払いによる短期前払費用の損金計上は認められません。現金

の支出が必要となります。短期前払費用の現金支出を行ったあとに会社

   の業績が悪化すると、たちまち資金繰りに窮することも考えられます。

   短期前払いを実行する際は、良く考えて慎重に行ってください。

 

3.    継続適用が条件です!

    短期前払費用を損金として認められるためには、毎年継続しているこ

とが条件になります。事業年度ごとに、前払いと月払いとを交互に行っ  ていれば、税務当局からは利益を操作しているのではないかと見なされてしまいます。そうなれば、前払費用の損金計上は認められません。短期前払費用を継続すべき期間は定められておりませんが、最低5年は、費用の前払いを継続する必要があるといわれています。


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