社長の海外視察旅行等は要注意!!

 中小企業の税務調査において、必ずと言っていいほど確認されるのが、社長の海外視察旅行等(海外渡航費)の内容です。その旅行のすべてが業務上必要なものであるかどうか?を社長に対する質問とエビデンス(旅行会社等による行程表、移動、宿泊、飲食関連の領収書等)をもとに確認されます。その結果、もし、その旅行が業務上必要なものでなかったり、その海外渡航費が業務上必要と認められる金額を超えていると判断された場合には、その海外渡航費の全額または超えている部分の金額は社長に対する給与となり、損金の額に算入されません(経費になりません)。社長が海外視察旅行等を行う場合の注意点として、税務上の取り扱いを確認していきたいと思います。

1.社長の海外視察旅行等は経費になるのか、ならないのか?

法人税法基本通達9--(海外渡航費)では、法人がその役員又は使用人の海外渡航に際して支給する旅費(仕度金を含む。以下同じ。)は、その海外渡航がその法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、当該渡航のため通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費としての法人の経理を認めるとされています。したがって、法人の業務の遂行上必要とは認められない海外渡航費の旅費の額はもちろん、法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航であってもその旅費の額のうち通常必要と認められる金額を超える部分の金額については、原則として、その役員又は使用人に対する給与(役員の場合、定期同額給与、事前確定届出給与等に該当しないため損金不算入)とされることになります。

ポイントは、業務の遂行上必要な旅行かどうかということと、渡航のため通常必要と認められる部分の金額を超えているかどうかということになります。業務の遂行上必要かどうかの判断は以下2(業務上必要な旅行とそうでない旅行の判断は?)で見るとして、通常必要と認められる金額の判断については、経路から容易に判断可能な運賃よりも、日当、宿泊料、仕度金等の額が適正であるかどうかがポイントとなります。そしてその点については、旅行先の物価事情、旅行目的、旅行期間等から勘案してその支給額の適否を判断することとされています。

また、その海外渡航が旅行期間のおおむね全期間を通じ、明らかに法人の業務遂行上必要と認められるものである場合(たとえばその期間中の休日等の余暇に観光地を周ったとしても)には、その海外渡航のために支給する旅費は、社会通念上合理的な基準によって計算されている等、不当に多額でないと認められる限り、その全額を旅費として経理することができるとされています。では、次にもっとも重要なポイントとなる業務の遂行上必要な旅行かどうかの判断について見ていきましょう。

 2.業務上必要な旅行とそうでない旅行の判断は?

   法人の役員又は使用人の海外渡航が法人の業務の遂行上必要なものであるかどうかは、その旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間等を総合勘案して実質的に判定するものとするが、次に掲げる旅行は、原則として法人の業務の遂行上必要な海外渡航に該当しないものとするとされています(法人税法基本通達9--7(業務の遂行上必要な海外渡航の判定))。

(1)観光渡航の許可を得て行う旅行(実質的に対応上有利な場合、

やむを得ない場合は該当する)

(2)旅行あっせんを行う者等が行う団体旅行に応募してする旅行

(3)同業者団体その他これに準ずる団体が主催して行う団体旅行で主として観光目的と認められるもの

 

 ただし、上記(1)~(3)の形式基準に該当しても、その海外渡航の旅行期間内における旅行先、行った仕事の内容等からみて自社の業務にとって直接関連するものがあると認められる場合には、法人の支給するその海外渡航に要する旅費のうち、業務に直接関連する部分の旅行について要した費用の額は、旅費として損金の額に算入することができるとされています(法人税法基本通達9--10(業務の遂行上必要と認められない海外渡航の旅費の特例))。

 

 上記1、2のような税務上の取り扱い(ほぼ実質判定)の対応策としては、自社において海外渡航費の計算の基礎となる運賃、日当、宿泊料、仕度金等について、透明性のある合理的な基準を作成し、特殊事情は勘案せず、その基準にしたがってブレなく支給するルールを徹底することと、その旅行の行程表、旅行先での業務内容、商談内容を記録した報告書等の作成が最低限必要になると思います。


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